台湾再訪 一人でセントレア

社会人になって4年目の年末。今年は実に散々な一年だった。

初めての異動で山奥へとばされ、夏にはぎっくり腰を発症(2年ぶり3回目)し、どこにも旅へ出られなかった。

腰痛も癒えたことだし、1年の最後はパーッと台湾へ行くしかない。

ボーナスももらい懐は温かくなった。お金の心配はない。

というか、何度目だ?台湾…。

 

午前10時発の飛行機を予約した僕は、うきうきを抑えきれず、3時間近くも前に中部国際空港へと到着した。あと5時間もすれば台湾へ到着だ。今回はどこへいこうかなあ(わくわく)

午前9時。チェックイン、出国審査を済ませ、いざ待合室へ。6度目の台湾だというのに、この高揚感がたまらない。かつては出発前に「行きたくないなあ…。」など憂鬱な気分になっていたが、勝手知ったる台湾となればそんな不安もどこ吹く風。楽しみしかない。

午前9時30分。そろそろ機内に案内されるころだ。

早めにトイレを済ませておこう!(わくわく)

ベンチを立ち上がってトイレへ向かう僕。

その時一本のアナウンスが流れた。

日本航空で台湾へ向かわれる皆様にご連絡です。当機は、機体の整備に時間がかかっております。もうしばらくお待ちください。』

よくあることである。なにはともあれ、安全が第一だよ。トイレに行って、もう一度売店ものぞいてこよっと♪(わくわく)

午前10時。出発時刻であるが、機内への案内はまだだ。

日本航空で台湾へ向かわれる皆様にご連絡です。出発時刻となりましたが、機体の整備に時間がかかっております。もうしばらくお待ちください。』

このアナウンスに待合所はすこしざわついた。

まあまあ、慌てなさんなって。よくあることだよ。事故があっちゃこまるでしょ。気長に待とうよ。台湾には行けるんだからさ!(うきうき)

午前10時30分。定刻を30分経過。それでも機内への案内は始まらない。

一部の乗客は不安にかられて、日本航空のお姉さんに詰め寄っている。

そんなことしたって仕方ないじゃない。気長に待とうよ。旅の計画でもたてながらさ。さーってどこにいこうかなあ(わくわく)

午前10時50分。

日本航空で台湾へ向かわれる皆様にご連絡です。当機、機体の整備を行いましたが、整備不良のため、欠航とさせていただきます。』

まあまあ慌てずにまと…

なんですって!?欠航!?

そのアナウンスに温厚でのんびり屋の僕もさすがにいてもたってもいられず、日本航空のお姉さんに詰め寄った。お姉さんの前には長い行列。しかし、詰め寄られたってお姉さんも困る。『もうしばらくお待ちください』の一点張りだ。

本当に今年は思い通りにいかないなあ…。

午前11時10分。

追加のアナウンスは何もなく、お姉さんも相変わらず『もうしばらくお待ちください』の一点張り。これはすごいことになってきたぞ…。

午前11時30分。

台湾行きのチケットをキャンセルし、北海道にでも行こうかと本気で考え始める。

その時である。

日本航空で台湾へ向かわれる皆様にご連絡です。当機、機体のやりくりが何とかなりそうですので、振替便を手配させていただきます。』

振替便?ということは台湾へ行けるってこと?やったー!(わくわく)

『振替便の時間に関しましては、いましばらくお待ちください。』

まつわよ。いつまでもまつわよ!1時間でも2時間でも私はまつわよ!

午前11時50分。

日本航空で台湾へ向かわれる皆様にご連絡です。振替便ですが、午後9時発となります。いましばらくおまちください。』

…。

夜の9時!?

1時間でも2時間でもまつわ!とはいったが、9時間は待っていられる自信がない。無理だ!

『なお、近隣のホテルを手配しましたので、そちらでお待ちいただくことも可能です。希望される方は、日本航空係員までお伝えください。』

…こんな経験2度とないだろう。

僕はしぶしぶ、ホテル希望者の列へ並んだ。

日本航空のお姉さんは、東横インのチケットと一緒に、空港内のレストランで使えるお食事券をくれた。

待合室の軽食屋さんでカツカレーをたべながら、ふと思った。

そういえば、僕はすでに出国審査をすませているんだけれど、どうすればいいのだろう…。

おなじみの日本航空のお姉さんに尋ねると、なにやら秘密の通路をとおされ、到着したのは入国審査場。

ここでパスポートの『出国』というスタンプの上から斜線がひかれ、その隣に『出国中止』というスタンプが押された。これ、僕がなにか悪いことしたように絶対見えるよ。

その後は、東横インでゴロゴロし、空港内の大浴場につかり、待合室のマッサージチェアーに癒されながら、夜の9時まで時間をつぶした。

正直に言うと、もうお家へ帰りたい…。

結局、台湾には現地時間の夜11時ごろに到着した。おなじみ空港バスもこんな夜更けには本数を減らしており、タクシーで市内まで向かうことなった。

なんとも稀有な体験だった。

ホテルの部屋に入ったころには、すでに日付が変わっていた。