韓国と古墳

博多港を出港した高速船は、東シナ海の大海原を疾走していく。そのあまりの揺れっぷりに、僕は嘔吐寸前だ。 湯布院でのアルバイト中、博多から韓国の釜山へとわずか3時間ほどで行けるという情報を得た僕は、4日間の休暇をもらうと、早朝に湯布院を脱出し、福…

卒業旅行 高松24時

本来、大学生の卒業旅行というのは、ヨーロッパだハワイだと海外へ行くことが多いようだ。社会に出る前に、学生生活最後の思い出として、気心のしれた仲間と海外旅行へ…。よく耳にする話である。では、大学にほとんど友達のいない人間は、いったいどうしたら…

続 北國紀行 その8 白き世界で

真冬日を体験したい。 ただそれだけの目的で函館を訪れたのは、前回の旅から半年後の2月。 仙台の友人宅から新幹線と特急列車を乗り継ぎ函館へ。 そして気まぐれで下車した木古内駅で大いに後悔した。 なんとなく面白そうという理由で降りたはいいものの、…

続 北國紀行 その7 遠野での話

青森からさらに南下をつづけた僕は、ついに岩手県へ侵入。 昨年も訪れた民話の故郷遠野を再訪だ。 遠野では、例の宿で2泊3日を過ごし、あいかわらず姨捨山やち●こをかたどった神様を眺めて満喫したのだが、2日目の夜にこんなことがあった。 夜の雑談タイムの…

続 北國紀行 その6 青森という街の話

青森へはフェリーで津軽海峡を越えてみることにした。 なんと、青春18きっぷでは、青函トンネルを通過することができないのである。なんとも不便な切符なのだ。 さて、函館駅から路線バスに乗り、函館港へ到着した僕は、さっそくフェリーの切符を購入。い…

続 北國紀行 その5 函館という街の話

ニセコから丸一日かかってようやく函館についた。 函館を始めて訪れたのは、高校の修学旅行の時だった。 自由行動ということで、女っ気のない陰キャ男子4人で回ったわけだが、おしゃれな港町なんぞ陰キャ野郎には似合わないはずなのに、僕は函館という街がと…

続 北國紀行 その4 函館本線の話

札幌から函館へ行くには、特急列車が一番早い。それでも3時間はかかるが、常人はこの手段を選ぶことだろう。 深夜バスも走っている。函館まではおよそ5時間だ。これを選ぶのは、自分を痛めつけたいマゾっけのある人か、自分に厳しい試練を与えたい修行僧くら…

続 北國紀行 その3 深夜バスの話

宗谷本線で稚内まで来たものの、ここは日本の突き当りなので、どうにかして戻らなくてはならない。ここから先はロシア。これ以上先へは進めないのである。 もう一度、宗谷本線にのって戻ることも考えたが、お尻が痛い。 さて、どうしよう。 ぼんやりと考えな…

続 北國紀行 その2 宗谷本線の話

宗谷本線は、旭川から稚内まで伸びる、全長300㎞もある長い路線である。 美瑛で3日間を過ごした僕は、午前10時ごろ、饒舌系台湾人と一緒に、富良野線で旭川駅へと出た。 今朝初めて知ったのだが、彼はこれから北海道大学へ留学するための大事な試験がある…

続 北國紀行 その1 美瑛での話

美瑛と言うのは、とても美しい街である。 どれくらい美しいかと言うと、「日本の美しいむら百選」に選ばれるほどである。 街中に畑が広がり、北海道らしい、とても雄大な景色を満喫することができる。 美馬牛のユースホステルに宿泊した翌日、僕もレンタサイ…

北國紀行 その5 函館にて

充実の夜を過ごし、これで心残りもなく遠野を発つことができる。 「もう寝過ごしちゃだめだよ!」 とみんなにいじられながら宿を出発だ。 年上系女子2人と歩きながらバス停へ向かうと、背後から大きな声が聞こえた。 「いってらっしゃーい!またこいよー!」…

北國紀行 その4 遠野哀歌

遠野には昼前についた。 津山女子を待伏せしようという不埒な理由で早起きしたこともあって、思いのほか早く到着した。 駅を出ると、交番やお店など、そこら中にカッパがいた。 遠野は民話の故郷で、妖怪がそこら中にいるという噂の街なのである。 駅前の小…

北國紀行 その3 平泉恋歌

平泉の駅から歩くこと15分ほど。 平泉の中でもトップクラスの観光地として名高い毛越寺のなかに、本日の宿はある。その名を「毛越寺ユースホステル」という。 宿泊客は僕のほかに2人いた。一人はなんと東大生である。 東大生って本当にいるんだあ、と感嘆の…

北國紀行 その2 山形というところ

新潟駅を出発した列車は日本海沿いを北上していった。 朝の通勤通学の時間帯と言うこともあり、列車には女子高生がたくさんのっていた。 女子高生を眺めることで、初めの2時間くらいはとても充実した鈍行列車ライフを過ごすことができたのだが、女子高生が…

北國紀行 その1 青春18きっぷ

一日2,300円で列車に乗り放題というとんでもない切符をJRは販売している。 「青春18きっぷ」という名の破格の切符は、青春を感じたい人間ならだれでも購入することが可能である。別に18歳しか購入できないきっぷと言うわけではない。 大学2回生の9月、青春…

ゆとり合宿@韓国

学生時代に僕が加入していたサークルでは、毎年「海外合宿」を行っていた。 「海外合宿」と言えば聞こえはいいが、ようするに、ただの旅行である。 僕が加入してからは、グアムと香港という、合宿を行う場所とは到底思えないリゾート地で合宿を開催した。し…

日本をぶらぶら@桃岩荘

ユースホステルとは、主に若者向けの、相部屋を基本とした安い宿のことで、いまでいうゲストハウスのようなものである。もともと海外で始まったものだが、日本では1970年代くらいに全盛期を迎え、全国各地に数多くのユースホステルが存在した。当時の若者の…

台湾再訪@一人でネコ村

豊田村で何もしない苦痛の4時間を過ごした翌日(無事に脱出できた)、花蓮から台北へ戻った僕は、最終日の予定を思案していた。台湾の首都台北は見どころ満載である。世界一の高さを誇る台北101。ショッピングもたのしい西門町。中国歴代王朝の宝物が集う故…

台湾再訪@豊田駅

3年ぶり7回目の台湾で、僕は初心に返ることを決意し、台北到着後、すぐさま東部方面行きの電車へ乗り込み、7年ぶり4回目の花蓮訪問となったのである。 おなじみの日本語が話せるおばちゃんの宿に投宿した翌日、僕は日本時代の痕跡をたどるため、台東県に…

台湾再訪@何度目だ花蓮

台湾の東側は、日本でいう日本海側の風情がある。ようするに、さびれている。 その東側の中心都市が花蓮である。 かつて日本の移民が大勢訪れ、移民村が作られた花蓮の街には、独特の空気が漂っている。僕はその空気が大好きだった。 花蓮を訪れたときに必ず…

台湾再訪@一人で日本統治期の史跡巡り

台湾に日本統治時代の面影が随所に残っているというのは、この旅行記で何度も書いてきた。保安駅や飛虎将軍廟、豊田村や花蓮など、数々の遺構を訪れてきた。 そんな僕が今回注目するのが、桃園神社だ。台湾中心部から1時間ほど、桃園国際空港がある街に、台…

台湾再訪 一人でセントレア

社会人になって4年目の年末。今年は実に散々な一年だった。 初めての異動で山奥へとばされ、夏にはぎっくり腰を発症(2年ぶり3回目)し、どこにも旅へ出られなかった。 腰痛も癒えたことだし、1年の最後はパーッと台湾へ行くしかない。 ボーナスももらい懐…

台湾再訪 一人で台北101

完全に場違いなリゾート地、恒春から決死の思いで脱出した僕は、高雄から新幹線に乗り換え、台北へと帰還した。地獄からの生還。リゾート地に一人で行ってはいけないといういい教訓となった。やはり旅というのは日々勉強なのである。 さて、台北での宿を確保…

台湾再訪 一人でリゾート

「海角七号」という台湾映画がある。 日本統治時代の切ない恋模様を現代の若者たちとうまくリンクさせて描く感動作で、台湾ではタイタニックを超え歴代1位の興行収入を記録した大ヒット作だ。僕は日本での公開初日に、わざわざ名古屋まで出向き、風邪を押し…

台湾再訪 その1 原住民の村

多納村である。 台湾にリベンジを果たした1年後、見事社会人になった僕は、多納村を再訪していた。 屏東からバスで大津へ、大津からは客待ちのタクシー運転手にいわれるがままタクシーに乗車し、なんなく多納村へ到着だ。社会人になり、お金を手にすると、…

台湾リベンジ 最終夜

2008年1月29日 リベンジ【revenge】 [名]復讐すること。報復。仇討。借りを返すこと。 ~大辞泉より~ そう。リベンジである。 2008年1月29日 午前5時半。台北駅前バスターミナル。 見事リベンジを果たした僕は、バスの添乗員であるお姉ちゃ…

台湾リベンジ 第14夜 保安駅

2008年1月28日 午後12時34分。 いま僕は台南駅にいます。 来ちゃった…。本当に来ちゃった…。 基隆から5時間近くかけて来ちゃったよ…。 昨夜、橋本氏の大阪府知事就任を見届けすぐさま眠りについたためか、今朝は 午前5時ぐらいに目が覚めてしま…

台湾リベンジ 第13夜 基隆

2008年1月27日 帰国便が飛び立つまであと48時間。 昨日台湾一周をはたしてしまったため。時間はたっぷりある。 ユースを10時半ごろチェックアウトし、曇り空の中、台北駅前にある国光客運バスターミナルへと向かう。今日は台湾有数の観光地である…

台湾リベンジ 第12夜 台北

2008年1月26日 ビュッ! カキーン! ビュッ! カキーン! よし、まずまずだな。 筋肉痛にも負けず、早朝からバッティングセンターでトレーニングを積む日本(から来た大して野球経験のない旅行者)代表。 今日は花蓮を離れる日。 ホテルの受付でお金…

台湾リベンジ 第11夜 花蓮

2008年1月25日 花蓮のお馴染みの宿に泊まるのは3年連続3回目なのだが、実は特別快適というわけではない。 花蓮の街中ということで夜も外はうるさいし、テレビもケーブルテレビに加入していないようで視聴できるチャンネルも数えるほどしかない。内装…