ヨーロッパ紀行

ヨーロッパ紀行 エピローグ

「ニホンジンノオキャクサマ、ササノッテノッテ!クウコウヘムカウヨ!」 ローマ空港まで案内してくれるというイタリア人男性は、そういいながら奥さまのキャリーバックだけを素早く手に取り、ホテルを出て送迎用の車へと向かった。僕のキャリーバックの方が…

ヨーロッパ紀行 第24夜 ローマ 

『Oh!アリガトウ!コレニホンゴメニュウー!』 …。 朝にも関わらず、めっちゃ客引きしてくる我々の救世主。いったい何時から営業しているんだ、この店は…。 駅へ行く時に必ず通る道なので避けようがないのだが、朝からあの大型ピザを食べるのは無理だ。シッ…

ヨーロッパ紀行 第23夜 バチカン

『すべての道はローマに通ず』という格言がある。 その当時のローマ帝国の繁栄ぶりを伝える言葉なのだが(たぶん)、学生時代、「本当にすべての道はローマに通じているのかしら?」という疑問を持った僕は、中国から陸路でローマを目指そうというふざけた旅を…

ヨーロッパ紀行 第22夜 シエナ ローマ

今回の「フィレンツェ・ローマ6泊8日の旅」は、フィレンツェ3日間(といっても初日は深夜着)とローマ3日間の日程が組まれているのだが、前述したように決まっているのは飛行機とホテルのみで、あとはご自由にお過ごしくださいという放任主義。つまり、フ…

ヨーロッパ紀行 第21夜 フィレンツェ

ゴーンゴーンゴーン… どこからか鳴り響く教会の鐘の音。そのあまりのうるささに目を覚ました。時計を見ると、朝の6時半。まだ寝ていたいが妙に頭はさえている。日本ではもうお昼すぎ。これが時差の力なのだ。にもかかわらず、奥さまはまだ眠ったまま。よほ…

ヨーロッパ紀行 第20夜 フランクフルト 

僕の旅は基本的に一人である。 一人旅のほうが気楽だから!なんて昔は言っていたが、はっきり言う。それは強がりだ。僕は友達が少ない。故にいつも一人旅だったのだ。(後輩を連れた1度目のヨーロッパの旅は例外中の例外) しかし、まさか2人でヨーロッパを…

ヨーロッパ紀行 第19夜 ブリュッセル 

小便小僧はどこだ。 ブリュッセルといえば小便小僧、小便小僧といえばブリュッセルである。ブリュッセルの中央駅であるブリュッセル西駅から案内板を頼りに探してはみたものの、完全に迷子になってしまった。 ブリュッセルを歩いてみて気づいたことがある。…

ヨーロッパ紀行 第18夜 ゲルゼンキルヘン 

今日こそは早起きだ!との決意を込めて旅行者とは思えないくらい早く眠った結果、朝7時台の電車に乗ることに成功した。社会人5年目ともなると、早起きもできるようになってくる。 旅も本日を含めて実質あと2日。 昨日、抜群の不味さのチャーハンを食べた…

ヨーロッパ紀行 第17夜 ヒルデスハイム ハノーファー

「Exucuse me? I`d like to stay here one more night, ok?」 『Oh, ok, sure』 やっちまった…。連泊しちゃった…。 何度でもいうが、この旅はパリでのんびりするために計画したのである。 今日で旅は3日目。それにもかかわらず、僕はパリからはるか遠く、…

ヨーロッパ紀行 第16夜 ハーメルン 

昨晩はベルリン中央駅前という早朝移動には最高の立地にたつビジネスホテルに泊まった。それにも関わらずすっかり寝坊した僕は、見事に始発電車への乗車に失敗。駅前広場で途方にくれながら、あいかわらずとてもしょっぱいカリーブルストで朝食をすませた。 …

ヨーロッパ紀行 第15夜 ベルリン

3度目のヨーロッパの旅は、前回の続きであるフランクフルトからスタートした。前回、前々回の旅とはことなり、直行便ではなく、初のヘルシンキ(フィンランド)乗り換えのため、フランクフルト中央駅に降り立つころには夜の9時を過ぎていた。 当初の計画で…

ヨーロッパ紀行 第14夜 ハルシュタット 

来てから知ったことだが、オーストリア第3の街リンツは、なんとあのアドルフヒトラーが育った街らしい。とんでもない街に来てしまった…。帰国後『オーストリアでどこへいったの?ウィーン?』と尋ねられた際、「ヒトラーの育った街、リンツです」などと答え…

ヨーロッパ紀行 第13夜 リンツ 

かつて偉い王様の本拠地だったチェスキークルムロフ。しかし、王の没落ともに街はすたれ、取り壊すどころかむしろ放置され何百年も経過。結果として中世の街並みが当時のままほとんどすべて残るという奇跡がおきた。いまでは当然世界文化遺産に登録されてお…

ヨーロッパ紀行 第12夜 チェスキークルムロフ

共和国広場を一人後にした僕は、吸い寄せられるように広場近くのお土産物屋さんに入った。どこの観光地でもありがちな定番のお土産を見ながらひとりの夜を満喫していると、スキンヘッドな男性が僕に声をかけてきた。 『Hello. You are Japanese?』 「はあ…?…

ヨーロッパ紀行 第11夜 プラハ

翌朝、共産主義時代のプラハの街と同じくらい重苦しいホテルの部屋(窓がないからずっと暗い)を抜け出し、早朝のモルダウ川沿いへ繰り出した。 朝日に照らされキラキラ輝くモルダウ川から眺めるプラハ城はやはり素晴らしく美しい。昨日は「重たい雰囲気がする…

ヨーロッパ紀行 第10夜 プラハ

スメタナの交響曲「わが祖国」が流れる中、バスはプラハ市内へ入り、中央駅前で停車した。ヨーロッパ4か国目、チェコ共和国に入国である。 今回の旅で僕は「世界一美しい街を探せ」というテーマを掲げていた。一人旅のむさい男子が絶対に掲げてはいけないテ…

ヨーロッパ紀行 第9夜 ニュルンベルク

「ちぇ、チェックアウトぷりーず…」 『Oh, OK. ダンケシェーン』 「だ、だんけしぇーん…」 よかった、通じた…。 チェックアウトの際、受付にいたのは昨日の英語ぺらぺらおやじではなく、かっぷくのよいおばあちゃんであった。彼女はゆっくりした英語で話し、…

ヨーロッパ紀行 第8夜 ケルン

パリ北駅周辺は、パリ市内で最も治安の悪い場所といわれている。できることなら近づきたくないわけだが、空港から市内へ向かう電車へ乗ったところ強制的につれてこられてしまったのだから仕方がない。 プラットホームを出ると、1年前に聞いた懐かしいフラン…

ヨーロッパ紀行 第7夜 パリ

六日ぶりにパリへ戻ってきた。空はどんよりと曇っており、なんだか肌寒い。灼熱のスペインから戻ってきた短パン男子にとっては酷である。 とりあえず初日に泊まった宿へ再びチェックインし、夜行列車の湿気でべたべたになった体をシャワーでリフレッシュだ。…

ヨーロッパ紀行 第6夜 コンスエグラ マドリード

風車の立ち並ぶ小高い丘の上を温かい風が吹き抜けていく。周りを見渡すと、一面赤茶けた大地が広がる…。まさに思い描いていたラマンチャ地方の風景そのままである。昨日のトレドに引き続き、日本では確実に見ることのできない風景がそこには広がっていた。 …

ヨーロッパ紀行 第5夜 トレド

スペイン滞在3日目。日程の関係上、明日の夜行列車でパリへ戻ることになっている。それにも関わらず、僕たちはバルセロナも、バレンシアも、そしてマドリードにも行っていない。行ったのはカンフランとサラゴサだけである。どこだ? 果たしてこれで良いのだ…

ヨーロッパ紀行 第4夜 サラゴサ

列車はカンフランを出発し朝焼けの中を走っていく。 午前6時半。旅人の朝は早い。 昨日の夜知ったことだが、ピレネー山脈の街カンフランを脱出する列車は早朝6時半発(!)しかも1日1本のみ(!!)ということらしい。つまり、早朝の列車に乗り遅れた場合、…

ヨーロッパ紀行 第3夜 カンフラン

本日は、人生初の陸路での国境越え。 ルルドからポーという街へ。 そこから鈍行電車でオロロンサントマリーへ。さらにそこからピレネー山中へ侵入し、バスで峠を越えてスペインへ!!というわくわくの日程となっております。そんなわくわくの日なのです。 そ…

ヨーロッパ紀行 第2夜 ルルド

ルルドといえば泉である。らしい。 フランスの南、ピレネー山脈ふもとの町ルルド。 ここはキリスト教徒にとっては絶対訪れたい注目のスポット(聖地)らしい。 言われてみれば、ルルドの泉って聞いたことがある。 少なくともキリスト教徒ではない我々は、この…

ヨーロッパ紀行 第一夜 パリ

『まもなく、当機は、パリ・シャルルドゴール国際空港へ向け着陸態勢に入ります。シートベルトをお締めになり・・・』 …。 やった…。やったぞ…。ぎっくり腰にかったんだ…。 中部国際空港を飛び立ってからおよそ11時間後、着陸態勢に入る日本航空43便の非…

ヨーロッパ紀行 プロローグ

スペインはマドリッドの北に位置するチャマルティン駅。 午後7時30分。 駅構内のバーガーキングで暴飲暴食の限りを繰り返していた僕たちがあわてて乗り込むと同時に、パリ行きの寝台特急は出発した。 『オラ!』 同室になったイラン出身のベルギー国籍青…